小川 未明
子供の時分の話
あめ売りの吹く、チャルメラの声を聞くと、子供の時分のことを思い、按摩の笛の音を聞くと、その人は涙ぐみました。その話を聞かせた人は旅の人です。そして、その不思議な話というのはつぎのような物語です。
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町からすこしばかり離れた、小さなさびしい村でありました。村には昔の城跡がありました。ちょうど私と同じい七つ、八つばかりの子供が、毎日五、六人も寄り集まって鬼事をしたり、こまをまわしたりして遊んでいました。
ずっと以前から、この村に一人のあめ売りじいさんが入ってきました。チャルメラを吹いて、小さな屋台をかついで町の方からやってきました。子供らはみんな、このおじいさんの顔をよく知っていました。