小川 未明

善いことをした喜び

さよ子は、叔母さんからもらったおあしを大事に、赤い毛糸で編んだ財布の中に入れてしまっておきました。秋のお祭りがきたら、それでなにか好きなものを買おうと思っていました。

もとよりたくさんのお金ではなかったのです。けれど、さよ子はそれを楽しみにして、ときどき机のひきだしの中から、赤い毛糸の財布を取り出しては、振ってみますと、中に銭がたがいに触れ合って、かわいらしい鳴き音をたてるのでありました。

さよ子は、それでほおずきを買おうか、南京玉を買おうか、それともなにかおままんごとの道具を買おうかと、いろいろ空想にふけったのであります。すると、なんとなく、その日が待ち遠しかったのでありました。

まことに、いい天気の日で、のら仕事の忙しかったときでありました。家々のものは、みんな外の圃に出ていて、家にいるものはほとんどありませんでした。

青空文庫の作品カード