小川 未明
強い大将の話
一
ある国に、戦争にかけてはたいへんに強い大将がありました。その大将がいる間は、どこの国と戦争をしても、けっして負けることはないといわれたほどであります。
それほど、この大将は知略・勇武にかけて、並ぶものがないほどでありました。それですから、よくほかの国と戦争をしました。そして、いつも勝ったのであります。
あるとき、隣の国と戦争をしました。それは、いままでにない大きな戦争でありました。そして両方の国の兵隊が、たくさん死にました。隣の国では、今度ばかりは勝たなければならぬといっしょうけんめいに戦いましたけれど、やはりだめでした。そして、とうとう最後に負けてしまいました。けれど、さすがの強い大将も、今度はやっと勝ったというばかりで、みな家来のものもなくしてしまいました。