小川 未明
灰色の姉と桃色の妹
あるところに、性質の異った姉妹がありました。同じ母の腹から産まれたとは、どうしても考えることができなかったほどであります。
妹は、つねに桃色の着物をきていました。きわめて快活な性質でありますが、姉は灰色の着物をきて、きわめて沈んだ、口数の少ない性質でありました。
二人は、ともに家を出ますけれど、すぐ門前から右と左に分かれてしまいます。そして、いつもいっしょにいることはありませんでした。妹は、広々とした、日のよく当たる野原にいきました。そこには、みつばちや、ちょうや、小鳥などが、彼女のくるのを待っているように、楽しく花の上を舞ったり、空を駆けていい声でないていました。
いろいろな色に咲く花までが、彼女の姿を見ると、いっそう鮮やかに輝いて見えるのでありました。