小川 未明
自分で困った百姓
一
ある田舎に、二人の百姓が住んでおりました。平常はまことに仲よく暮らしていました。二人とも勉強家で、よく働いていましたから、毎年穀物はたくさんに穫れて、二人とも困るようなことはありませんでした。
あるとき、甲は乙に向かっていいました。
「おたがいに達者で、働くことはできるし、それに毎年気候のぐあいもよくて、圃のものもたくさん穫れて、こんな幸福なことはない。いつまでも仲よく暮らして、おたがいに助け合わなければならん。」と、たばこに火をつけて、それを吸いながらいいました。