小川 未明

酔っぱらい星

佐吉が寝ていると、高窓の破れから、ちらちらと星の光がさしこみます。それは、青いガラスのようにさえた冬の空に輝いているのでありました。

仰向けになって、じっとその星を見つめていますと、それが福々しいおじいさんの顔になって見えました。おじいさんは、頭に三角帽子をかぶっています。そして、やさしい、まるまるとした顔をして、こちらを見て笑っています。佐吉には、どうもこのおじいさんが、はじめて見た顔でないような気がするのでありました。

「どこで、このおじいさんを見たろう。」と、佐吉は考えながら、星を見上げていますと、さまざまの幻が目に映ってくるのでありました。

去年の暮れのことでありました。佐吉が独り町を歩いていますと、いつもは寂しい町でありましたけれど、なにしろ年の暮れのことですから、人々が急がしそうに道をあるいていました。また、商店は、すこしでもよけいに品物を売ろうと思って、店先をきれいに飾って、いたるところで景気をつけていました。

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