小川 未明
大きなかに
それは、春の遅い、雪の深い北国の話であります。ある日のこと太郎は、おじいさんの帰ってくるのを待っていました。
おじいさんは三里ばかり隔たった、海岸の村へ用事があって、その日の朝早く家を出ていったのでした。
「おじいさん、いつ帰ってくるの?」と、太郎は、そのとき聞きました。
すっかり仕度をして、これから出てゆこうとしたおじいさんは、にっこり笑って、太郎の方を振り向きながら、
小川 未明
それは、春の遅い、雪の深い北国の話であります。ある日のこと太郎は、おじいさんの帰ってくるのを待っていました。
おじいさんは三里ばかり隔たった、海岸の村へ用事があって、その日の朝早く家を出ていったのでした。
「おじいさん、いつ帰ってくるの?」と、太郎は、そのとき聞きました。
すっかり仕度をして、これから出てゆこうとしたおじいさんは、にっこり笑って、太郎の方を振り向きながら、