小川 未明
お姫さまと乞食の女
お城の奥深くお姫さまは住んでいられました。そのお城はもう古い、石垣などがところどころ崩れていましたけれど、入り口には大きな厳めしい門があって、だれでも許しがなくては、入ることも、また出ることもできませんでした。
お城は、さびしいところにありました。にぎやかな町へ出るには、かなり隔たっていましたから、木の多い、人里から遠ざかったお城の中はいっそうさびしかったのであります。
お城の中には、どんなきれいな御殿があって、どんな美しい人々が住んでいるか、だれも知ったものがなかったのです。旅人は、お城の門を通り過ぎるときに、足を止めてお城のあちらを仰ぎました。けれど、そこからは、なにも見ることができませんでした。
「なんでも、きれいな御殿があるということだ。」と、一人の旅人がいいますと、