小川 未明

ものぐさなきつね

一

星は、毎夜さびしい大空に輝いていました。そして下界を照らしていましたけれど、だれも星を見てなぐさめてくれるものとてなかったのです。星は、それを頼りないことに思っていました。

鶏が、朝早く起きて、そのりこうそうな黒い瞳の中に、星影を映して、勇んで鳴いてくれなかったならば、星は、毎夜毎夜、音もない野原や、黒い村や、白く霧のかかった林や、ものすごい水の上を照らしていることが、もう飽き飽きして、まったくいやになってしまったにちがいありません。

けれど、若々しい鶏の喜ばしそうな鳴き声を聞くと、星は、すべての長い夜の間の物憂かったことなどを忘れてしまいます。そうして、つい鶏の愛想のいいのに引き込まれて、いっしょに日の上らない朝の間を楽しく送るのでありました。

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