小川 未明
駄馬と百姓
甲の百姓は、一ぴきの馬を持っていました。この馬は脊が低く、足が太くて、まことに見たところは醜い馬でありましたが、よく主人のいうことを聞いて、その手助けもやりますし、どんな重い荷物をつけた車でも引き、また、あるときは脊の上に荷物を積んで歩いたのであります。
他の馬は、よく主人の意にさからったということを聞きますけれど、この馬にかぎって、けっして、そんなことはなく、汗を流してよく働きました。それがために、甲の百姓は、どれだけ利益を得ていたかわかりません。
「さあ、もうすこしだ。我慢をして歩けよ。」と、主人は疲れた馬に向かっていいました。
馬は、うなだれて、黙って重い車を引いていました。また、あるときは、主人は、