小川 未明

泣きんぼうの話

あるところに、毎日、よく泣く子がありました。その泣き様といったら、ひい、ひいといって、耳がつんぼになりそうなばかりでなく、いまにも火が、あたりにつきそうにさえ思われるほどです。

その近所の人々は、この子が泣くと、

「また、泣きんぼうが、泣きだしたぞ。ああたまらない。」といって、まゆをひそめました。

「泣きんぼう」といえば、だれひとり、知らぬものがなかったほどでありました。

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