小川 未明
村の兄弟
ある田舎に、仲のよい兄弟がありました。ある日のこと、兄は、一人で重い荷を車にのせて、それを引いて町へ出かけてゆきました。道すがら兄は、弟のことを頭の中で思っていました。
「頭のいい、やさしい、いい弟だ。俺はこうして働いても、せめて弟だけは、勉強をさせてやりたいものだ。」
などと考えていました。そして、ガタ、ガタと車をひいてきかかりますと、あちらの松の木蔭に見慣れないおじいさんが休んでいました。
おじいさんは、荷をつけた車が前にさしかかると、
小川 未明
ある田舎に、仲のよい兄弟がありました。ある日のこと、兄は、一人で重い荷を車にのせて、それを引いて町へ出かけてゆきました。道すがら兄は、弟のことを頭の中で思っていました。
「頭のいい、やさしい、いい弟だ。俺はこうして働いても、せめて弟だけは、勉強をさせてやりたいものだ。」
などと考えていました。そして、ガタ、ガタと車をひいてきかかりますと、あちらの松の木蔭に見慣れないおじいさんが休んでいました。
おじいさんは、荷をつけた車が前にさしかかると、