チェーホフ アントン

グーセフ

一

暗くなって来た、間もなく夜だ。

無期帰休兵のグーセフが、釣床から半分起きあがって、小声で言う。

「ねえ、パーヴェル・イヴァーヌィチ。こんな事をスーチャン〔(蘇城、ウラジオの東方約百キロにある炭坑地)〕の兵隊が言ってたっけ。奴の乗ってた船に大きな魚が突き当って、船底をぶち抜いたってね。」

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