小川 未明

青い草

小さな姉弟は、父の目が、だんだん見えなくなるのを心配しました。

「お父さん、あのカレンダーの字が、わからないの?」と、壁の方を指していったのは、もう前のことであります。お父さんが、会社をやめてから、家の内にも夜がきたように暗くなったのです。

「私の故郷へ帰りましょう。田舎は、都会とちがって、困るといっても、田はあるし、畑があるし、まだゆとりがあります。いけば、どうにかならないこともありますまいから。」と、子供の母親がいいました。

「お母さん、田舎へ帰るの。」と、姉のとし子は、お母さんの体へすがりながらききました。

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