小川 未明

青葉の下

峠の上に、大きな桜の木がありました。春になると花がさいて、とおくから見るとかすみのかかったようです。その下に、小さなかけ茶屋があって、人のいいおばあさんが、ひとり店先にすわって、わらじや、お菓子や、みかんなどを売っていました。

荷を負って、峠を越す村人は、よくここのこしかけに休んで、お茶をのんだりたばこをすったりしていました。

賢吉と、とし子と、正二は、いきをせいて、学校からかえりに坂を登ってくると

「おばあさん、水を一ぱいおくれ。」といって、飛びこむのでした。

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