小川 未明

海へ帰るおじさん

赤いボールを沖に向かって投げると、そのまりは、白い波の間にもまれて、浮きつ沈みつしていましたが、そのうちに、ざあっと押し寄せる波に送られて、また武ちゃんや、ゆう子さんのいる渚にもどってきました。

「おじさんの舟が、見えないかしらん。」

「また、たくさんお魚を捕ってくるでしょう。」

そのうちに西の空が、紅くなりました。ひょっこりと前方へ、黒い小舟が波のうちから浮かび上がりました。あちらにも一つ、ずっと遠くの方にも、豆粒のようなのが見えています。

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