小川 未明
かたい大きな手
遠く、いなかから、出ていらした、おじいさんがめずらしいので、勇吉は、そのそばをはなれませんでした。おじいさんの着物には、北の国の生活が、しみこんでいるように感じられました。それは畑の枯れ草をぬくもらし、また町へつづく、さびしい道を照らした、太陽のにおいであると思うと、かぎりなくなつかしかったのです。
「こちらは、いつも、こんなにいいお天気なのか。」と、おじいさんは、聞かれました。
「はい、このごろは、毎日こんなです。」と、おかあさんが、答えました。
「あたたかなところで、くらす人は、うらやましい。」