小川 未明
川へふなをにがす
少年は、去年のいまごろ、川からすくいあみで、ふなの子を四、五ひきばかりとってきました。そして、庭においてあった、水盤の中に入れました。ほかにも水盤には、めだかや、金魚がはいっていました。
「けんかを、しないだろうかね。」と、少年は、心配しました。
「入れ物が、大きいから、だいじょうぶだろう。」と、友だちがいいました。
赤い金魚、黄色なめだか、うすずみ色をした、ふなの子は、思い思いに泳ぎまわっていました。まだ小さいから、こんな中でも広い世界と思うのか、満足するように、べつに魚どうしで、けんかをするようすも見えませんでした。