小川 未明
おとうさんが かえったら
やけあとの、たがやされた ところには、みどりいろの むぎが ふさふさと しげって いました。また、やわらかそうに みえる わかなに、きいろの 花が さいて いました。
しかし、まだ あとかたづけの してない ところには、大きな 石などが ころがって いました。こんなに あれて いる あきちだけが、ぼくたち 子どもの あそびば でした。
ちょうど、大きな 石の 下から、すいせんが ねじれて あたまを だして います。その くきは、やせて いたけれど、つぼみを もって いました。もし、この 石さえ なければ、のびのびと して、うつくしい 花が さくで あろうにと おもうと、かわいそうに なりました。
ぼくは、かおを ふくらまして、りょう手へ 力を いれ、うんうんと うなって、石を どかそうと しましたが、石は びくとも うごきませんでした。