小川 未明

雲のわくころ

冬のさむい間は、霜よけをしてやったり、また、日のよくあたるところへ、鉢を出してやったりして、早く芽が頭をだすのを、まちどおしく思ったのであります。

勇吉は、草花を愛していました。

しかし、いくら気をもんでも、その気候とならなければ、なかなか、芽を出し、咲くものでないことも、知っていました。だから、

「早く、春にならないかなあ。」と、灰色に、ものかなしく、くもった冬の空をながめて、いくたび思ったことでしょう。

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