小川 未明

子供は悲しみを知らず

広い庭には、かきが赤くみのっていました。かきねの破れを直して、主人は、いま縁側へ腰を下ろし、つかれを休めていたのです。彼はこのあたりの地主でした。

裏門から、寺のおしょうさんが、にこにこしながら、入ってくるのを見ると、ちょっと迷惑そうな顔色をしたが、すぐ笑いにまぎらして、丁寧に迎えました。

「あまりごぶさたをしたので、前を通りかかったものだから。」と、おしょうさんは、いいました。

「どうぞ、すこしお上がりください。」

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