小川 未明
戦友
目の落ちくぼんだ、鼻の高い、小西一等兵と、四角の顔をした、ひげの伸びている岡田上等兵は、草に身を埋ずめ腹ばいになって話をしていました。
見わたすかぎり、草と灌木の生え茂った平原であります。真っ青な空は、奥底の知れぬ深さを有していたし、遙かの地平線には、砲煙とも見まがうような白い雲がのぞいていました。もう秋も更けているのに、この日の雲は、さながら、夏のある日の午後を思わせたのであります。
「故郷へ帰ったようだな。」
ときどき、思い出したように、あちらから、打ち出す銃声がきこえなかったなら、戦地にいるということを忘れるくらいでした。