小川 未明
空にわく金色の雲
道であった、顔見知りの人は、みすぼらしい正吉の母にむかって、
「よく、女手ひとつで、むすこさんを、これまでになさった。」と、いって、うしろについてくる正吉を見ながら、正吉の母をほめるのでした。
しかし、心から感心するように見せても、じつは母子のしがない暮らしを、あわれむというふうが見えるので、正吉は子供ながら、それを感じていましたが、母は、そういって、なぐさめられると、気が弱くなっているせいか、すぐなみだぐんで、
「なにしろ、三つのときから、一人で育て、やっと来年は小学校を、卒業するまでにしました。」と、うったえるように答えたのでした。