小川 未明
太陽と星の下
S少年は、町へ出ると、時計屋の前に立つのが好きでした。そして、キチキチと、小さな針が、正しく休みなく、時をきざんでいるのを見て、――この時計は、どこの工場で、どんな人たちの手で造られたのだろう――と、空想するのでした。
すると、明るい、清潔な、設備のよくいきとどいた、近代ふうの工場が、目の前に浮かび上がります。彼は、いつか自分も、こんな工場へ通って働き、熟練工になるかもしれないと、思ったりするのでした。こうして、町は、少年にいろいろな、たのしい夢を与えてくれました。
ある日、四つつじの角のところへ、新しく美術店ができました。しかし、そこには、新しいものより、古いもののほうが多かったから、むしろ、こっとう店というのかもしれません。
入り口のガラス窓の内には、まるいつぼがおいてありました。