小川 未明
だまされた娘とちょうの話
弟妹の多い、貧しい家に育ったお竹は、大きくなると、よそに出て働かなければなりませんでした。
日ごろ、親しくした、近所のおじいさんは、かの女に向かって、
「おまえさんは、やさしいし、正直であるし、それに、子供が好きだから、どこへいってもかわいがられるだろう。うらおもてがあったり、じゃけんだったりすると、きらわれて出世の見込みがないものだ。東京へいったら、からだを大事にして、よく働きなさい。」と、希望のある言葉を与えてくれました。
方々で桜の花の咲きはじめたころでした。お竹は、故郷に別れを告げたのであります。