小川 未明

だれにも話さなかったこと

あのときの、女の先生は、まだいらっしゃるだろうか。それにつけ、僕は、深く心にのこって、忘れられない当時の思い出があります。

しばらく、さくの外に立って、もう一度そのときのことを頭にえがき、自分の子供の時分をかえりみました。

どちらかといえば、僕は、内弁慶で、外では弱虫というのでしょう。幼稚園へも、なかなか一人ではいけなかったのでした。

「姉さん、ついていってよ、それでなけりゃ、いや。」と、いざ朝になって、いくときになると、いいはりました。

青空文庫の作品カード