小川 未明
つばめと魚
そこは、町のにぎやかな通りでありました。ある店の前へ子どもがあつまっていました。ちょうどきかけたつばめは、どんなおもしろいものがあるだろうと自分もおりてみました。店には、金魚や、めだかなど、いろいろならべてあったが、その中でも、ガラスのいれものにはいった熱帯魚がめずらしいので、みんなは、この前に立って、美しい姿に見とれていました。
「なあんだ、あの魚たちなら、おれはよく知っているぞ。それにしても、よくこんな遠方まで渡ってきたもんだな。」と、つばめは、屋根のあたりを飛びながら、いいました。
ピイチク、ピイチク、つばめがしきりとなくので、ガラスばちの魚も、なんだかききおぼえのある声と思ったのでしょう。上を仰ぐと、つばめは、
「人のいないときに、またまいりますよ。」といって、飛び去りました。それから、じきに、またつばめは、やってきました。