小川 未明

ねずみの冒険

一匹のねずみが、おとしにかかりました。夜中ごろ天井から降りて、勝手もとへ食べ物をあさりにいく途中、戸だなのそばに置かれた、おとしにかかったのです。空腹のねずみは、あぶらげの香ばしいにおいをかいで、我慢がしきれなかったものでした。ねずみは、そのせまい金網の中で、夜じゅう出口をさがしながら、あばれていました。夜が明けると、ねまきを着た、この家の主人が、奥からあらわれました。

「大きいねずみだな。こいつだ、このあいだから、そこらをガリガリかじったのは。」

主人は、しばらく立って見ていました。

「どうしてくれようか。」

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