小川 未明
引かれていく牛
もうじきに春がくるので、日がだんだんながくなりました。晩方、子供たちが、往来で遊んでいました。孝ちゃんと、勇ちゃんと、年ちゃんは、石けりをしていたし、みつ子さんとよし子さんは、なわとびをしていました。
うす緑色の空に、頭をならべている木々のこずえは、いくらか色づいているように見えました。いろいろの木の芽が、もう出ようとしているのです。
ちょうど、このとき、あちらから黒いものが、こちらへ、のそり、のそりと歩いてきました。
「あれ、お牛よ。」と、いちばん先にみつけたよし子さんがいいました。