小川 未明
風船虫
原っぱは、烈しい暑さでしたけれど、昼過ぎになると風が出て、草の葉はきらきらと光っていました。昨日は、たくさん雨が降ったので、まだくぼんだところへ、水がたまっています。もうすこしばかり前でありました。
「きょうは、きっとよく釣れるよ。」といいながら、徳ちゃんは、釣りざおとバケツを持って先に立ち、後から、正ちゃんが、すくい網をかついでここを通ったのです。
年ちゃんは、毎日のように川へいくと、おばあさんにしかられるので、今日は、いっしょにいくのをやめたのでした。二人が、もう川へ着いた時分、年ちゃんは、原っぱへきて、お友だちをさがしていました。
「やあ、きれいだな。」と、年ちゃんは、水たまりのところに立ち止まって、大空の白い雲が下の水の面に映っているのをのぞいていました。