小川 未明
僕が大きくなるまで
小学校にいる時分のことでした。ある朝の時間は、算術であったが、友吉は、この日もまたおくれてきたのであります。
「山本、そう毎日おくれてきて、どうするんだね。」と、先生は、きびしい目つきで、友吉をにらみました。そして、その時間の終わるまで、教壇のそばに立たせられたのです。ほかの生徒たちは、先生から宿題の紙をもらったけれど、友吉一人は、もらうことができませんでした。
鐘が鳴ると、生徒らは、先を争って廊下から外へとかけ出しました。そのとき、良一は、先生が教員室へいかれる後を追ったのです。
「先生、山本くんは、働いているので、遅刻したのです。」と、いいました。