小川 未明

町はずれの空き地

空き地には、草がしげっていましたが、いまはもう黄色くなって、ちょうど柔らかな敷物のように地面に倒れていました。霜の降った朝は、かえって日が上ると暖かになるので、この付近に住む子供たちは、ここへ集まってきて、たこをあげるものもあれば、ボールを投げて遊ぶものもありました。

この空き地の中央に、一本の高い松の木がありました。独りぽっちで、いかにもその姿がさびしそうに見えることもあれば、また、さびしいということなど知らぬ聖人のように、いつもにこにことして、子供たちの遊んでいるのを見守るように見えたこともあります。

この町の子供たちは、みんなこの木を知っていました。たとえ木のそばへ寄って、ものをいいかけなくとも、お母さんが留守でさびしいときや、お父さんにしかられて、悲しかったときは、遠くから、ぼんやりとこの木をながめて訴えたものです。すると、木は、

「私のところへおいで。」と、手招きするように、なぐさめてくれたものでした。

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