小川 未明

雪消え近く

早く雪が消えて、かわいた土の上で遊びたくなりました。雪の下にかくれている土の色がなつかしいのであります。吉郎は、自分の家の前だけでも早く雪をなくそうと思いました。それで朝から外に出て木鋤で、雪をわってはそれを力いっぱい遠く畠の方へとなげていました。

日がほかほかと当たってきました。しじゅうからが、林へ来て鳴いています。空は、うす青く晴れて、なんとなく気持ちの伸び伸びとするいいお天気でした。

「吉郎さん、雪をわっているの。」と、隣のとめ子さんが赤いえり巻きの中へ半分顔を埋ずめながら、そばへきていいました。

「はやく、雪がなくなるといいね。そうすれば、いろんなことをして遊べるだろう。」と、吉郎は、手を休めて、答えました。額ぎわには、働いたので、あせがにじんでいました。

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