小川 未明
夜の進軍らっぱ
山の中の村です。雪の深く積もったときは、郵便もなかなかこられないようなところでした。父親一人、息子一人のさびしい暮らしをしていましたが、息子は、戦争がはじまると召集されて、遠く戦地へ出征してお国のために働いていました。
「おじいさん、息子さんのところから、たよりがあったかい。」と、顔を見ると村の人はきいてくれました。
「あ、こないだあった、達者で働いているそうだ。もう、あちらは川の水も凍ったということだ。」
「まあ、達者で、お国のために働いていてくれれば結構なことだ、神さまを拝んで、めでたく凱旋するのを待っていらっしゃい。」と、村人は、老人を元気づけたのです。