小川 未明
彼等流浪す
あてもなくさ迷い歩くというが、やはり、真実を求めているのだ。また美を求めているのだ。なぜなれば、人間は、この憧憬がなければ、生きていられないからだ。
あわれなる流浪者よ、いったい、どこに、その真実が見出され、美が見出されるというのか? そして、いつになったら、汝の流浪の旅は終るというのか?
人間が、この地上に現われた時より、同じく、憧憬は、生れた。南から北へ、北から南へと、彼等は、相呼びかわしながら、はて知られぬ旅へと上った。何ものを求めるのか、彼等自からにさえ分らないことであったろう。しかし、これを押しつめて言えば、真実を求めたのだ。もっと美しいものを求めたのだ。
クロポトキンは、いう。