小川 未明
朝の公園
それは、さむいさむい朝のことでした。女中のおはるは、赤いマントをきた、小さいお嬢さんをつれて、近くの公園へあそびにきました。そこはもう、朝日があたたかくてっていたからです。公園には、ぶらんこがあり、すべりだいがありました。もう子供たちがあつまって、笑ったりかけたりしていました。
小さなお嬢さんは、ひとりであそんでいました。おはるはベンチに腰をかけて、もってきた少女雑誌を読んでいました。いなかにいるときから、本を読むのがすきでありましたので、こちらへきてからも毎月のお小づかいの中から雑誌を買って、おしごとのおわったあととか、ひまのときにはとり出して、読むのをたのしみにしていたのであります。
いま、おはるは、その雑誌にのっている、少女小説をむちゅうになって読んでいました。あわれな家があって、感心な少女が病気の母親と弟をたすけてはたらく話が、かいてありました。しばらく、雑誌に目をおとしてかんがえこんでいると、ふいになきさけぶお嬢さんの声がきこえました。おはるは、はっとして立ちあがりました。見ると、お嬢さんはすべりだいからどうしておちたものか、泣いているのです。
「まあ、どうなすったのですか?」と、おどろいてとんでいきました。