小川 未明
犬と古洋傘
ある村から、毎日町へ仕事にいく男がありました。どんな日でも、さびしい道を歩かなければならなかったのです。
ある日のこと、男はいつものごとく考えながら歩いてきました。寒い朝で、自分の口や、鼻から出る息が白く凍って見えました。また田圃には、霜が真っ白に降りていて、ちょうど雪の降ったような、ながめでありました。
このとき、どこからか、赤ん坊の泣く声がしました。男は思わず歩みを止めて、あたりを見まわしたのであります。
「はてな、赤ん坊の泣く声がきこえたが……。」
小川 未明
ある村から、毎日町へ仕事にいく男がありました。どんな日でも、さびしい道を歩かなければならなかったのです。
ある日のこと、男はいつものごとく考えながら歩いてきました。寒い朝で、自分の口や、鼻から出る息が白く凍って見えました。また田圃には、霜が真っ白に降りていて、ちょうど雪の降ったような、ながめでありました。
このとき、どこからか、赤ん坊の泣く声がしました。男は思わず歩みを止めて、あたりを見まわしたのであります。
「はてな、赤ん坊の泣く声がきこえたが……。」