小川 未明
がん
若いがんたちが、狭い池の中で、魚をあさっては争っているのを見て、年とったがんが歎息をしました。
「なぜ、こんなところに、いつまでもいるのだろうか。」
これを聞いた、りこうそうな一羽の若いがんが答えて、
「おじいさん、どこへゆけば、私たちは幸福に暮らされるというのですか。この池へおちつくまで、私たちはどんなに方々の沼や、潟を探索したかしれません。けれど、どこにもすばしこい猟犬の鳴き声をきくし、狡猾な人間の銃をかついだ姿を見受けるし、安心して、みんなの休むところがなかったのです。そして、ようやく、この禁猟区の中のこの池を見いだしたというようなわけです。」と、老いたるがんに向かって、いいました。