小川 未明

年ちゃんとハーモニカ

年ちゃんの友だちの間で、ハーモニカを吹くことが、はやりました。はじめ、だれか一人がハーモニカを持つと、みんながほしくなって、つぎから、つぎへというふうに、買ったのであります。けれど、みんなは、それを吹き鳴らすことを覚えないうちに、やめてしまったけれど、年ちゃんだけは、べつに教わりもせずに、いろいろの歌を吹けるようになりました。

「学校のことが、そういうふうにできるといいのですけれどね。」と、お母さんが、おっしゃいました。

「いや、なんだって、上手になればいいさ。年坊は、音楽家になるかな。」と、お父さんは、笑われました。

しかし、学校のことは、ハーモニカのようには、ゆきませんでした。それだけでなく、試験が近づいてきても、年ちゃんは、遊んでばかりいるので、お母さんは心配なさいました。

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