小川 未明
友だちどうし
乳色の冬の空から、まぶしいほど、日の光は大地へ流れていました。風のない静かな日で雪のない国には、やがて、春が間近へやってくるように感ぜられるのでありました。
年ちゃんは、紅茶の空きかんの中へ、ガラスのおはじきを入れていましたし、正ちゃんは、ほうじ茶の紙の空き袋の中へ、ガラスのおはじきも入れていれば、また、秋の暮れにお宮の大きな木の下で拾った、銀杏の実も入れていました。
毎朝、洗い清められる玄関の外のアスファルトの上に、二人はしゃがみながら、たがいにおはじきを出して見せ合ったり、取りっこをしたりして、遊んでいました。年ちゃんの持っている、青い色のおはじきは、町へお母さんといっしょにお使いにいって買ってもらったもので、眼鏡のようにして、すかして見ると、空も、家も、木も、うす青く、遠く、遠く、なって見えるので、年ちゃんは魔法の眼鏡と自分で呼んでいる、大事な、そして、好きなおはじきでありました。また、正ちゃんの銀杏の実は、自分が木から落ちたのを拾って、いいのだけを択んだもので、たとえおはじきを五個でも、一粒の銀杏の実とは換えがたい貴いものでありました。二人は楽しそうに、自分のものを出したり、入れたりして、自慢しあって、仲よく笑っていたのです。
そこへ、見知らぬ、一人の少年がやってきました。