小川 未明
仲よしがけんかした話
風のない暖かな日でした。お宮の前に伸ちゃんと、清ちゃんと、そのほか女の子たちがいっしょになって遊んでいました。ときどき風が境内のすぎの林に当たると、ゴウーといって、海岸に寄せる波の音を思い出させたのであります。
「清ちゃん、撃剣ごっこをしようか。」と、伸ちゃんが、いいました。二人は、いつも学校へいっしょにいき、帰ってくると、いっしょに遊ぶ仲よしでありました。そして、まれに一人に用事があって、だまって先へいくことがあっても、おいていかれた一人は、そんなことで怒って、明くる日はもう誘いにいかないというようなことは、ありませんでした。
「あ、しようよ。」と、清ちゃんが、こたえたので、伸ちゃんは急いで、家へ帰って、たくさん新聞紙を持ってきました。そして、それを二分して、二人は、たがいにそれを堅く巻いて、新聞紙の棒を造りました。
「どっちが、勝つかなあ。」と、年ちゃんや、かね子さんが、おもしろがって見ていました。