小川 未明
春の日
もう、春です。仲のいい三人は、いっしょに遊んでいました。
徳ちゃんは、なかなかのひょうきんもので、両方の親指を口の中に入れ、二本のくすり指で、あかんべいをして、ひょっとこの面をしたり、はんにゃの似顔をして見せて、よく人を笑わせました。とし子さんは、おこりんぼでちょっとしたことでも、すぐにいぼをつってしまいます。そうすると武ちゃんと、徳ちゃんは、つまらなくなります。二人が、いろいろに機嫌をとっても、とし子さんは、笑いもしなければ、ものもいいません。
そんなときです、徳ちゃんは、いつもする得意の、指を口に入れて、あかんべいをして、とし子さんの顔をのぞきます。さすがに、いぼつりのとし子さんも、これを見ると、くすくすと笑い出して、じきに機嫌を直すのが例でありました。
武ちゃんには、徳ちゃんのように、そんなひょうきんのまねはできませんでしたから、もし、とし子さんと二人のときに、どうかして、とし子さんが、いぼをつれば、