小川 未明

僕がかわいがるから

正ちゃんの、飼っている黒犬が、このごろから他家の鶏を捕ったり、うきぎを捕ったりして、みんなから悪まれていました。こんどやってきたら、鉄砲で打ち殺してしまうといっている人もあるくらいです。けれど、正ちゃんは黒犬をかわいがっていました。

「クロや、もう僕といっしょでなければ、出さないよ。ひどいめにあうからね。」と、いってきかせました。

クロは、尾を振って、正ちゃんの体に頭をすりつけて、クン、クンと喜んで鳴いていました。

「わかれば、もういいのだよ。僕は、おまえをかわいがってやるから。」と、いって、クロの頭を抱えて、その顔に自分のほおをつけていました。

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