小川 未明
笑わなかった少年
ある日のこと、学校で先生が、生徒たちに向かって、
「あなたたちはどんなときに、いちばんお父さんや、お母さんをありがたいと思いましたか、そう感じたときのことをお話しください。」と、おっしゃいました。
みんなは、目をかがやかして、手をあげました。最初にさされたのは、竹内でありました。
「私が、病気でねていましたとき、お父さんは毎晩めしあがるお好きな酒もお飲みになりませんでした。そして、お母さんは、ご飯もあまりめしあがらず、夜もねむらずにまくらもとにすわって、氷まくらの氷がなくなれば、とりかえたりしてくださいました。僕は、コツ、コツと氷の砕ける音をきいて、しみじみとありがたいと感じました。」と、答えました。