北原 白秋

文庫版『雀の卵』覚書

※(ローマ数字1、1-13-21) 初版本について

初版『雀の卵』は大正十年八月にアルスより刊行された。四六版アンカト、五二五頁、部厚で重く、兎も角尨然たる大冊となつた。恩地孝四郎氏の装幀で、鼠色の薬嚢絨布で、表紙は無地、背の上部に白の鞁を当て、之に金文字を捺しただけであつた。大扉と小扉は同じく同氏の手に成るカツトで飾つた。挿画はわたくし自身で葛飾時代から描きためて置いた十七葉を以てした。

此の『雀の卵』の装幀には二種ある。再版後の分は、表は同じ鼠の無地であるが、背の鞁の金文字は自身のものに換へ大扉と小扉も同じく之に準つた。

いづれも内容は同じであるが、ただ一首後のに訂正されてゐる。これは「雀の卵」の中「山家抄」の二、三首目の歌

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