吉川 英治
鳴門秘帖
心の地震
鬱然とした大樹はあるが、渭山はあまり高くない。山というよりは丘である。
西の丸、本丸、楼台、多門など――徳島城の白い外壁は、その鬱蒼によって、工芸的な荘重と歴史的な錆をのぞませ、東南ひろく紀淡の海をへいげいしていた。
城下をめぐる幾筋もの川は、自然の外濠や内濠のかたちをなし、まず平城としては申し分のない地相、阿波二十五万石の中府としても、決して、他国に遜色のない城廓。
吉川 英治
心の地震
鬱然とした大樹はあるが、渭山はあまり高くない。山というよりは丘である。
西の丸、本丸、楼台、多門など――徳島城の白い外壁は、その鬱蒼によって、工芸的な荘重と歴史的な錆をのぞませ、東南ひろく紀淡の海をへいげいしていた。
城下をめぐる幾筋もの川は、自然の外濠や内濠のかたちをなし、まず平城としては申し分のない地相、阿波二十五万石の中府としても、決して、他国に遜色のない城廓。