吉川 英治

鳴門秘帖

お千絵様

さて、その後またどうしたろうか、お千絵様は?

かの女の今の環境はしずかであった。爽やかな京の秋がおとずれている。

部屋の前はひろい河原で、玉砂利と雑草とを縫う幾すじもの清冽は、加茂の水と高野川の末がここで落ちあっているのだと、和らかい京言葉をもつ小間使に教えられた。

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