吉川 英治私本太平記下天地蔵まだ除夜の鐘には、すこし間がある。とまれ、ことしも大晦日まで無事に暮れた。だが、あしたからの来る年は。洛中の耳も、大極殿のたたずまいも、やがての鐘を、偉大な予言者の声にでも触れるように、霜白々と、待ち冴えている。青空文庫の作品カード