吉川 英治

私本太平記

山門の二皇子

ここで日と月は、少し以前へもどるが。

足利家の大蔵邸に預けられていた囚人僧のひとり忠円が、鎌倉表から越後へ流されて行った前後に、その忠円の密使らしい者が、叡山の坂本にある山門の別当へ、

「なにとぞ、これを大塔ノ法親王さまへ、お直々に」

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