小川 未明

現下に於ける童話の使命

この度、日本国民童話協会が創立されまして衷心からお喜びの言葉を申し上げます。就きましては、この機会に聊か私見を述べ、またこれからさき出発せられる皆様に対して希望を申し上げ度いと思うのであります。

今迄童話をお話になる皆様は、各※(二の字点、1-2-22)各所に於いて特色を発揮され、民衆の教化又子供の教化に当たられて来たのであります。そうしてそれぞれ立派な仕事をなされて来たのであります、それが凡ての利害を棄てて、今度ここに合同され一つの指導原理に統一されたと云う事は、今日の日本にとって、教化運動に於ける一大動力となるべきものと考え、喜ばしく存ずるのであります。

そうして凡ての文化運動も斯うなければならぬと思います。何故ならば、日本は何れの方面に於いても非常時に際会して居ります。就中、思想問題に於いて、今民族文化と云うものが創造されなければ、如何に外に於いて日本が完全に戦っても駄目である。この思想問題の行き詰まって居るのを打開しなければならぬと云う使命が、文化人の上に重く掛かって来た事であると思います。民族文化を如何にして振興するか。これは一言にして云えば、民族悉くが振るいたって、一つの目的に向かって邁進しなければ到底駄目である。それをするには国民に一つの希望を持たせ、目的を持たせなければならぬ、これは即ち童話の使命であると思います。

童話と云うものを余りに低く評価して来たのでないか。今日の子供の頭を統一して行く、子供の思想を統一する、子供を何処に連れて行くかと云う事が、指導階級に分かって居ったならば、児童の思想統一は軈て日本国民の思想統一になると思います。青少年の思想統一を抜きに

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